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連休の道楽 ① 【レンズ追加 ~その17~ 標準レンズ】

今年は小雪のためにGWのスキーは日帰りで終わってしまった。

そこで先日落札したカビの生えたレンズの手入れをしよう。
合わせて以前バラしたままだったレンズも組み立てよう。

                   【クリックで拡大】
50mmふたつ

左:SMC PENTAX 50mm 1:1.4

右:smc PENTAX-M 50mm 1:1.4

右はおなじみのMレンズ。
そして左は"Kレンズ"とか"Pレンズ"とか呼ばれているもの。
それまでのスクリューマウント(M42マウント)から、PENTAXとして初めてバヨネットマウント(Kマウント)化されたものだ。
このK50mmは初期型と後期型に分かれ、このうち初期型にはTakumar 55mm 1:1.8と同じトリウムレンズが使われている。
今回入手したのはその初期型で、レンズ構成の同じM50mmとどう写りが違うのか楽しみだ。

     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

初めに以前入手したM50mmの方に手を付ける。

このレンズはバルサム切れを起こして曇っていた。

バルサム切れ

冷凍庫で冷やしてから熱湯に入れたりして接着を剥離させるところまでやっていた。
ところが貼合わせがなかなか上手くいかなかった。

剥がした合わせレンズ

初めはプレパラート用のカナダバルサムを使ってみたのだが、これは希釈しているタイプで何日放置しても固まらずレンズが動いてしまう。

清掃してそのまま3年近く放置していたのだが、今回はUV硬化樹脂を使うことにした。
100円ショップで手芸用のレジンとして売られているものだ。
レンズの芯出し用に小さいL型金具も用意した。

レジンとL金具

凹レンズを下にして一滴垂らし、そこに凸レンズを乗せて押し広げていく。
レジンが全体に行き渡ったらL型金具で両側から押さえて芯出し。そのまま動かさないように直射日光下に持っていく。
(レジン用のUVライトも試したが、直射日光の方が固まる感じがした)

上手く行ったと思ったが、時間が経つと一部が剥がれてしまった。
均等にレジンが行き渡らなかったのだろうか。

また冷凍→熱湯を繰り返して剥がした。
レジンは綺麗に剥離して、まるで大きなコンタクトレンズのようだ。

また剥離

いい方法は無いだろうかと色々探しているうちにライカのレンズ工房の動画を見つけた。
その中には貼合わせの様子も映されていた。

乗せたレンズを回転させながら気泡を押し出し、尚且つ接着剤を均等に行き渡らせるようにしているようだ。
このやり方を真似したら上手く接着出来た。

十分に固まったところで小端塗りをする。
(レンズの内面反射を抑えるためにレンズのコバを黒く塗る)

墨で塗るようなのだが100円ショップの墨は薄くて使えなかった。
代わりに筆ペンでいいやと塗ってみた。

小端塗り

上手く塗れてるようだが透かして見ると薄くて光が漏れる。
もう少し厚く塗れる塗料の方が良いみたい。
黒のマニキュアなんかいいかもしれない。

合わせレンズを組み付けたら、外してあった絞りユニットを付ける。

絞りの取り付け

絞りから伸びているレバーが絞り環の方に繋がるU字金具にリンクする構造だ。
絞りユニットは鏡筒に対して回転方向にフリーなので、絞り値と実際の絞りが一致するように調整して固定する。
この調整が最初は半段ほどズレていて、その後撮影した写真が露出過多気味になってしまい、もう一度バラすことになった。

絞りを固定したらレンズの前群を取り付ける。
そしてピントリングの取り付け、及び無限遠の調整。

無限遠の調整

これは難儀するかなと思っていたが、案外簡単に出来た。
ピントリングは中筒に3本のネジで固定されている。
適当に仮固定してカメラに取り付け。
少しオーバーインフになるように回してから、遠方の景色にピントが合うように戻す。
ライブビューで拡大表示させると一層合わせやすい。

無限遠にピントが合ったらネジを緩めてピントリングを"∞"の位置(ストッパーに当たる)に合わせる。
そしてネジ3本を均等に締め付ける。確認してOKなら終了。

最後にフィルター枠と銘鈑を取り付けてメンテ終了だ。


続いてK50mmの方をバラす。

手元に来た時は、こんなカビ玉だった。

カビ玉

手順はM50mmとほぼ同じ。どんどんバラしていく。

文

カビは前群の一番後ろ、絞りの前のレンズ面に生えていた。
中性洗剤とアルコールを併用して清掃する。

次に黄変したレンズの漂白。
トリウムレンズは6群7枚のうち後ろから2枚目と云うことだが、その前後のレンズも黄変している。

レンズの黄変

上が7枚目、下がトリウムレンズの6枚目。
これと鏡筒に残した4,5枚目も黄変している。

先に入手したTakumar 55mm 1:1.8は該当レンズだけが黄変していた。
K50mm 1:1.4はそれよりも線量が高いので他のレンズにも影響を及ぼすのだろうか。
(Takumar 50mm 1:1.4も同じ傾向のようだ)

前回と同じようにビニール袋に入れて直射日光下へさらす。
今回は3日間置いておいた。

日光浴後

結果。
まぁまぁ色落ちしたがまだ残っている感じ。
レンズホルダーに入ったままの7枚目と、鏡筒ごと陽に当てた4,5枚目は色落ちが悪いようだ。
とりあえず今回はこれで組んでしまおう。

このレンズはまだ問題があって、ひとつはバルサム切れ。

K50mmのバルサム切れ

M50mmほどは酷くないが、うろこ雲状の曇りが広がっている。
裏からLEDで照らさないと見えない程度だが。
気になるようなら後で貼り直しすればいいか。

またカビの生えていたレンズ面には、コーティング劣化と思われる薄い曇りが残ってしまった。
これはアルコールでも中性洗剤でも落ちなかった。
この様な事例は結構あるみたいで、研磨剤を使って磨く人もいるようだ。

自分はそこまでの準備はないので今回はこれで終了。
見た目はまぁまぁキレイになった。

     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

それでは試写にいこう。
もう1本持っている50mm、A50mm 1:1.4も加えて3本で撮り比べる。
M50mmは先に書いた理由で絞ったときに半段ほど明るめになっている。

 ※この後の画像はすべてクリックで拡大します。

初めに絞って遠景から。

無限遠でF5.6に絞って撮影。
露出はマニュアルモードにてグリーンボタンで絞込み測光。
背景の林に引っ張られて半段ほど明るくなってしまった。
また、左下に白く被っているのは撮影場所にあった手すり。

A50mm遠景
K-5 + A50mm 1:1.4   F5.6 1/125 ISO100
 

M50mm遠景
K-5 + M50mm 1:1.4   F5.6 1/125 ISO100
 

K50mm遠景
K-5 + K50mm 1:1.4   F5.6 1/125 ISO100
 
露出の違いはあるけれど、それ以外はあまり違いが感じられない。
Kレンズは黄変の影響でやや黄色がかっているかな…?
解像はどれも隅々までしっかり写っている。

写りには関係ないが、Aレンズは微妙に画角が違うのに気付いた。
Mレンズが50mmとして画像から計算すると、51mmの画角になるのが判った。

今までA50mmはM50mmをAE化しただけのものだと思っていたが、光学設計も変えているようだ。
また、三つのレンズを並べてみると、同じsmcコーティングだが後の年代になるにつれ変わってきているのが判る。絞り羽根の重ね方がM50mmだけ逆なのも面白い。


続いて絞り開放でボケ具合を見る。
中央の花にライブビューでピントを合わせて撮影。
シャッター速度は同じにして露出は合わせてある。

A50mm開放
K-5 + A50mm 1:1.4   F1.4 1/1000 ISO100
 

M50mm開放
K-5 + M50mm 1:1.4   F1.4 1/1000 ISO100
 

K50mm開放
K-5 + K50mm 1:1.4   F1.4 1/1000 ISO100

これまた同じような感じで、重箱の隅をつつくような違いしかない。
Aレンズが画角の関係からか少しボケが柔らかい感じがする。
Kレンズは黄変の影響で透過率が低いのか少し暗めになった。
Kレンズの黄色味を修正すればカラーバランスは完全に一致しそう。

 
次は近接で撮影。
60cm程の距離から花のめしべにピントを合わせた。
ファインダーで合わせたからか、Aレンズは少し手前にピントが来てしまった。
絞りはF2.8まで絞る。

A50mm近接
K-5 + A50mm 1:1.4   F2.8 1/2000 ISO100
 

M50mm近接
K-5 + M50mm 1:1.4   F2.8 1/2000 ISO100
 

K50mm近接
K-5 + K50mm 1:1.4   F2.8 1/2000 ISO100

これまた甲乙つけがたい感じ。
Kレンズの黄色味も、これはこれで悪くないかも。

     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Super-Takumarの時代から50年以上に渡って作り続けられている50mm 1:1.4。
現在のFA50mm F1.4も同じ6群7枚のレンズ構成であり、また最短撮影距離や絞り羽根の枚数なども共通する。
察するに基本性能が高かったので、小改良を繰り返して現在まで続いているのだろう。

逆に言えばオールドレンズでも現在に通用する性能であり、それが数千円で入手できるのは実にありがたい。
むしろ最近は手を入れて復活する過程が楽しかったり…

PENTAXもフルサイズの一眼が発売されたことで、50mmが標準レンズとして今まで以上に注目を集めそうな感じがする。

実は冬の間に入手したレンズもあるので、その紹介はまたのちほど。

 
 ~後日談~

K50mmの貼合わせ玉を取り出してみた。
やはり鏡筒に入れたままだと上手く紫外線が届かなかったようでかなり黄色い。
バルサム貼り直しのため剥がしてみると・・・・

色違い

黄変しているのは5枚目の凸レンズだけで4枚目の凹レンズは無色だった。
トリウムレンズは6枚目なので隣り合ったレンズだけ影響を受けるのか。
それともガラスの材質も影響するのか、面白い現象だと思った。

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Comments

先日 55mmのkマウントのレンズ500円で買ったが、案の定カビカビだった。
ソフトフォーカスともいえる。
多分M42のマウントだけ変えた奴じゃ無かろうか

Posted by: ソーレ | May 07, 2016 10:27 PM

K55mm 1:1.8かな?

Takumar55mmをKマウント化したものだけど、これもバルサム切れ多発機種なんだよねぇ…

500円ならお得だよね。
ジャンク漁り楽しい!!

Posted by: めえ | May 08, 2016 06:21 AM

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